【昔話】七夕さま【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、土鍋売りの若者がいました。
ある日、若者がいつものように土鍋を売りに行くと、湖で娘たちが水浴びをしているのに出くわしました。
湖畔の木の枝には美しい着物がかけてありました。
若者はこの着物がどうしても欲しくなってしまい、一着だけ取って行ってしまいました。
夕方になり、若者が再び湖へ戻ると、一人の娘が裸で泣いており、若者はこの美しい娘に一目ぼれしました。
若者は娘に「着物がなくて帰れないのならわたしの家で一緒に暮らしませんか」と言い、娘を嫁にしてしまいました。
若者と娘はそれから仲良く暮らし、二人の間には子どもも生まれました。
そんなある日のこと、娘は天井の梁に吊るしてある包みに気がつき開けてみると、中には娘が湖で取られた着物が隠してありました。
娘はこの着物を着ると、謝る若者を置いて子どもを抱えて天に昇って行ってしまいました。
娘は「わたしに会いたかったら、わらじを千足編んで竹の根元に埋めなさい」と言い残して去りました。
若者は娘に会いたい一心で、わらじを編み続けました。
ところが千足より一足少ないわらじを竹の根元へ埋めたため、地面から伸びてきた竹は、もう少しのところで天には届きませんでした。
そこで若者は天にいるであろう娘に頼み込み、娘の手を借りてどうにか天に昇ることができました。
天にいる娘の両親は、自分たちの許可なく勝手に娘と結婚したことを快く思っていませんでした。
父親は娘と結婚する代わりに無理難題をしかけてきましたが、若者は何とかクリアしました。
その褒美に畑の瓜をもらったのですが、瓜は必ず縦に切れと言われました。
若者は言われた通り畑の瓜を縦に切ると、瓜から水があふれ出し、その水は天の川となって若者を流してしまいました。
流される若者に向かって、娘は「七日に会いましょう」と言ったのですが、若者がこれを七月七日と聞き間違え、ふたりは毎年七月七日天の川をはさんでしか会えなくなってしまいました。
これが七夕の始まりと言われています。