【昔話】片ひたのわらじ【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、馬方が住んでいました。
ある日仕事で帰りが遅くなり、次の日に履くためのわらじを作っていたのですが、眠かったので片方だけ作って寝てしまいました。
次の日、片方だけのわらじを置いて仕事に出掛けた帰り道、峠を歩いていると後ろから気味の悪い声で誰かに呼ばれました。
馬方が振り返ると、後ろから化け物が追ってきたので、馬方は大急ぎで逃げ出しました。
そして一軒の家を見つけて逃げ込んだのですが、家人は留守で誰もいませんでした。
馬方は天井の梁の上に登って隠れると、化け物が家の中まで入ってきました。
しかし、化け物は梁の上の馬方を見つけることができず、囲炉裏に火をつけて座りこみました。
腹が減った化け物は、近くにあった餅を焼き始め、しばらくすると化け物は居眠りをしていました。
それを見た馬方は屋根のかやを1本引き抜き、上から餅を刺して釣り上げ食べました。
やがて化け物は目を覚まし、餅が無くなっていたので、米びつの中に入り、ふたをして米を食べ始めました。
しばらくして米びつの中からいびきが聞こえてきたので、馬方は梁から降りると、お湯を沸かし、米びつのふたに穴を空けるとそこから熱湯を流し込みました。
熱湯を流し込まれた化け物は米びつの中で大暴れしていましたが、そのうちに静かになりました。
そして馬方がそっとふたを開けてみると、そこには昨晩自分が作った片方だけのわらじがありました。
片方しか作らなかったわらじが怒って化けて出たのでした。
