【昔話】百姓じいさんとてんぐ【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、百姓のおじいさんが住んでいました。
おじいさんは、馬をつ連れて大きな声で歌いながら山道を歩いていました。
ところが、山道に差し掛かった頃、道の向こうから天狗がやってきました。
天狗の鼻はおじいさんの腕よりも太くて、顔は神社の鳥居より真っ赤でした。
おじいさんと天狗はどちらも道を譲ろうとはせず、2人は道の真ん中でにらみ合っていました。
やがて天狗は、「道を開けないのなら、おまえを食ってしまうぞ」と怒り出しました。
おじいさんは怖がる素振りも見せず、「食われるのなら冥土の土産に天狗の術が見てみたいです」と言いました。
それを聞いた天狗は、羽団扇を出して呪文を唱え始めました。
すると、天狗の体はどんどん大きくなり、雲を突き抜けるほどになりました。
大きくなった天狗は手を伸ばし、おじいさんと馬を掴み上げると、「おれは日本一の天狗だ。さぁお前を食ってやる」と笑いました。
おじいさんは食われそうになりながら、「大きくなることは天狗なら誰でもできると聞いたことがあります。小さくなることはできないのですか?」と、けしかけました。
すると天狗はまた羽団扇を取り出し呪文を唱え、今度は豆粒ほど小さくなりました。
それを見たおじいさんは、天狗をつまみ上げ、ぱくっと食べてしまいました。
天狗よりもおじいさんの方が一枚上手だったのです。
