【昔話】小槌の柄【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村に、とても怠け者の男がいました。
男は子どもが泣いても嫁が怒っても寝転がってばかりだったので食べるものもなく貧しい生活を送っていました。
ある夏のこと、野原でゴロゴロ過ごしていた男は蟻にまで自分たちを見習えと説教されましたが、それでもは働こうとしませんでした。
すると蟻は、山に住む大黒さまが持っている打ち出の小槌は、振れば何でも出てくると言い、それを借りてみてはどうか、とすすめられました。
働かずに食べていけると喜んだ男は、すぐに大黒さまを訪ねたのですが、小槌を貸すのはいいが柄が折れていて使えないと言われました。
そこで男は家から鍬を持って来てその柄を代わりに出来るか聞いてみると、大黒さまは、小槌の柄の形は持つところがくぼんていて黒光りしていなくては代わりにならないと言いました。
男はなんとか柄を凹まそうと、鍬でせっせと自分の畑を耕し始めました。
あの怠け者に何があったのか?と村人たちに不思議がられながらも、毎日休まず働いたので鍬の柄は黒光りしてきました。
しかしなかなか凹みませんでした。
そうこうして1年、2年が過ぎる頃、大黒さまが男の様子を見に山から降りてみると、男の畑では作物がたくさん採れ嫁も子どももじゅうぶんに食べられる暮らしをしていました。
聞けば、男は小槌のことをすっかり忘れて働き続けていたということです。