【昔話】魂を取る亡者【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、仲の良い夫婦が住んでいました。
ある日、夫は用事で隣村に出かけました。
夫は、いつも機織りをしている妻に、「夜、機を織ると、あの世の亡者に魂を取られることがあるから、夜中に機を織る時は、口に小刀をくわえて織りなさい」と、昔からの言い伝えを聞かせていました。
今日も夫は妻にこのことを話してから家を出ました。
隣村で用事を済ませた夫が、家に帰るころにはすっかり夜も更けて、外は大粒の雨が降っていました。
夫は笠をかぶり、急いで帰りましたが、森の中の墓地を通った時、2人の亡者に出くわしました。
夫は怖がりながらも、自分が生身の人間とばれてしまったら魂を取られると思い、自分もたった今死んだばかりの亡者だと嘘をつきました。
ならばその証拠に頭を見せろと言い、亡者は夫の頭に手を伸ばしました。
しかし、夫は笠をかぶっていたので見えませんでした。
今度は足を見せろと言われた夫は咄嗟に、亡者が踏んでいる自分の杖を指して、それが自分の足だと言いました。
亡者たちは納得して、自分たちの後に着いて来るように言いました。
亡者たちは、この先の家によく機を織る女がいるので、これからその女の魂を取りに行くのだと言いました。
妻に違いないと確信した夫は、どうやって助けようかと考えました。
家では妻が機を織っているが、幸いにも口に小刀をくわえているので、亡者たちはは手出しが出来ませんでした。
ところが、妻はは疲れてうとうとしてしまい、口から小刀を落としてしまいました。
亡者はこれを見逃さず、妻の魂を取ると袋の中に入れてしまいました。
夫はここで、隣家にもっと美しい女がいるので、今度は自分に魂を取らせてほしいと言い、亡者から妻の魂が入った袋を借りました。
そして、裏からこっそり家の屋根に登ると、大声で鶏の鳴きまねをしました。
これを聞いた亡者たちは、夜が明けたと思い込み大慌てで逃げ出しました。
こうして、夫の咄嗟の機転で妻は命拾いしました。
