【民話】美女と野獣【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、三人の娘が暮らしていました。
中でも末娘のベルは、とても美人で心優しいと評判でした。
ある日のこと、仕事で町へ出かける父に長女が、「お月様の色をした服を買ってきてください」と言いました。
すると次女も「わたしはお日様の色をした服が欲しいわ」と言いました。
それを聞いても何も言わないベルがかわいそうになった父は、欲しいものはないのかと訊ねると、ベルは「バラの花が一本欲しいです」と答えました。
仕事を終えた父は姉たちの服を買いましたが、バラの花だけはどこにも売っていませんでした。
あちこち探しているうちに道に迷い困り果てていると、立派な城を見つけましたが、あたりには誰もいませんでした。
ふと城の庭を見ると、きれいなバラがたくさん咲いていました。
このバラをベルのおみやげにしようと考えた父は、一本の赤いバラを折りました。
すると目の前におそろしい野獣が現れました。
大事なバラを盗んだことに怒り狂っている野獣に向かって、父は娘のためにバラを持ち帰ってあげたかったと、謝りました。
それを聞いた野獣は、娘をここへ連れてくるのであれば許すと言い、その場から姿を消しました。
家に帰り、野獣の城での出来事を話すと、ベルは「わたしがねだったバラが原因なので自分が野獣のところへ向かいます」と言いました。
父に聞いたとおりに森の中へ進んでいくと、古い城が見えてきました。
怖くて震えながら扉を開き中へ入ったベルを野獣は優しく迎え入れ、城で自由に暮らすように言いました。
服も食べ物も何不自由なく与えられたベルは、毎日野獣と食事をしたり、お話をしたりして過ごしていました。
初めは野獣を恐れていましたが、野獣が本当はやさしいということを知り、野獣との生活が楽しいものへと変わっていきました。
その一方で、ベルは家族のことがとても心配になりました。
家族を心配するベルに、野獣は見たいものを映す魔法の鏡を見せました。
そこには、ベルのことを心配するあまり、病気になって寝込んでいる父の姿を映しました。
それを見たベルが今すぐに父の元へ帰りたいと頼むと、野獣は7日だけ家に帰ることを許してくれました。
ベルは野獣に必ず戻ると約束をして家へと帰っていきました。
元気そうなベルの姿を見た父は、安心して病気もすっかり良くなりました。
ベルは野獣と約束した7日間を家族と幸せに暮らしていましたが、美しく着飾り幸せそうなベルに嫉妬した姉たちは、離れるのを哀しむ振りをして引き止めました。
こうして約束の7日を過ぎてしまったベルは、ある夜、城の庭で倒れている野獣の夢を見ました。
ベルは目覚めるとすぐに城へと向かいましたが、城の中に野獣の姿はありませんでした。
不安になったベルが庭へ向かうと、そこで野獣が倒れていました。
ベルが野獣に駆け寄り涙を流すと、野獣は美しい王子の姿に変わりました。
野獣は魔女に魔法をかけられ姿を変えられていたのですが、ベルの愛で元の姿に戻ることができたのです。
こうして二人は結婚し、末永く幸せに暮らしました。