【昔話】嫁田の話【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある小さな村に、おばあさんと弥助という若者が住んでいました。
弥助の家に、隣村から働き者で器量の良いシノという嫁がやってきました。
年老いて働けないおばあさんは、シノにいろいろと頼みごとをしていましたが、シノは文句も言わずに働きました。
ところが、間もなく田植えが始まるという時に、弥助が病気になってしまいました。
シノはたった1人で五反も田植えをしないといけなかったのですが、4日がんばってもまだ二反も残っていました。
苗がだめになることを心配したおばあさんは、「明日には絶対に残りの二反を終わらせなさし」と、シノに強く言いました。
5日目、シノは夜も明けないうちに起きて、休む間もなく田植えをしましたが、あともう少しというところで日が沈み始めました。
シノは太陽に向かって「わたしの命にかえて、田植えが終わるまで日が沈むのを待って下さい。」と訴えました。
すると願いが通じたのか、太陽は逆戻りして日が昇りました。
シノは夢中で田植えを続け、ついに1日で二反の田んぼに苗を植え終わりました。
太陽に笑いかけたシノは、日が沈んだ後に倒れ、そのまま死んでしまいました。
シノをかわいそうに思った村人たちは、この田んぼを「嫁田」と呼ぶようになりました。