【昔話】きつね水【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、水の便が悪く作物がとれなくて人々が苦しい生活をしている村がありました。
この村には、伊助という笛吹きが上手い若者が住んでいました。
ある朝、伊助が笛を吹いていると、どこからか呼ばれた気がしたので振り返ってみると、1匹のきつねがいました。
きつねは息子が嫁をもらうことになり、嫁入りのときに伊助に笛を吹いてもらいたいとお願いしにきたのでした。
伊助はきつねの頼みを快く引き受けました。
その3日後、羽織袴姿のきつねが2匹、伊助の家に迎えにやってきました。
伊助がきつねたちについて行った先には豪華な屋敷があり、そこで3日前に会ったきつねが出迎えてくれました。
約束通り、伊助は嫁を迎えるために笛を吹いているときつねの花嫁がやってきました。
屋敷内で婚礼の儀が執り行われたあと、宴会が開かれました。
伊助も宴会に加わったのですが、酒に酔ってすっかり眠ってしまい朝になってしまいました。
伊助が目を覚ますと、そこは屋敷ではなく自分の家でした。
驚いた伊助は水を飲もうと水瓶のふたを開けた時、水瓶の中にきつねの姿が見えました。
きつねは昨夜のお礼として、村人たちが水に困っていると知り、たくさん水が出る場所を教えてくれました。
伊助は教えられた通り山の中に入ると、山椿の花をつけた枝が1本挿してありました。
伊助が椿の花に触れると花が地面に落ち、そこから水が湧きだしたました。
喜んだ伊助は水のことを村人たちに話し、辺りを掘ってみるときれいな水が湧き出てきました。
きつねが教えた水のいかげで、作物がたくさんとれ、干ばつのときも水が干上がることはなくなりました。