【昔話】山犬女房【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、やじろうという若者が住んでいました。
ある日、仕事を終えて家に帰る途中、神社の近くで美しい娘に出会いました。
娘は山奥の村の生まれで、村を追い出されてきたと言いました。
そして、泊まるところもないので、やじろうの家に連れて行ってほしいとも言いました。
やじろうが家のすぐ手前まで来たところで山犬に遭遇しました。
恐怖で動けなくなってしまったやじろうでしたが、後ろからやってきた娘が山犬をにらみつけると山犬は去っていきました。
やじろうは驚いて、そのまま気を失ってしまいました。
ふと気が付くと自分の家の中で、娘が食事の支度までしてくれていました。
娘はやじろうに、嫁にしてほしいと言いました。
助けてもらったやじろうは、娘と結婚し一緒に住むことにしました。
しかし、この娘こそ山犬の王だったのでした。
その頃、山奥の村では大規模な山犬狩りが行われていました。
狩人が山犬の王を、刀で切りつけたところ、額に傷がついた山犬の王は血を流しながら姿を消しました。
翌朝、やじろうが目を覚ますと、娘は家の裏で転んだと言い、額に傷をつけていました。
すると、血の跡を追ってやってきた狩人がやじろうの家にやってきました。
やじろうは、「山犬などいない」と言い、狩人は去っていったのですが、その夜再びやじろうの家にやってきました。
狩人は「今夜一晩だけ泊めてほしい」と言いましたが、娘が「絶対に泊めてはいけません」と強く拒否しました。
すると、娘の額の傷があらわになり、娘はみるみる山犬の王の姿に変わりました。
そしてすぐさま狩人に打ち殺されてしまいました。
現実を受け入れられないやじろうは、いつまでもそこに座り込んでいました。