【昔話】かかしの神さま【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、毎年秋はとても豊作で有名な村がありました。
稲の実りが良かったので今年の秋も豊作だと思われていましたが、すずめたちが次々に米を食べてしまいました。
追い払っても次から次へとすずめたちがやってきてキリがありませんでした。
そこで九兵衛が本家に相談に行くと、かかしを作ってみてはどうかという話になりました。
さっそく九兵衛はかかしを3体作り、田んぼの真ん中に立ててみました。
九兵衛が、田の米をどうか守ってくださいとお願いすると、かかしは、陽気に歌をうたいながらすずめを追い払ってくれました。
その甲斐あって、その年も豊作でした。
やがて年末が近づき、妻に頼んでかかしへのお礼の膳を床の間に用意してもらいました。
すると、可愛らしい娘3人が窓から顔を出し、床の間の膳に座りました。
可愛らしいかかしを九兵衛の愛人だと勘違いした妻は怒り出し、激しい夫婦喧嘩が始まりました。
この夫婦喧嘩を見た娘たちは、慌てて窓から逃げていきました。
これに気づいた九兵衛は、3人目を何とか取り押さえて、外に出さないようにしました。
夜も明けて元旦の朝となり、本家のおじいさんが九兵衛に家に寄ると、稗俵を1俵抱えた九兵衛の姿がありました。
不思議に思って何があったのかと尋ねると、これこれこうだと九兵衛は語って聞かせました。
本家のおじいさんは「せっかく福の神が来たというのに、妻が心得違いをしたばかりに、金3俵になるところが稗俵1俵になってしまったな」と言いました。
このことがあってから、九兵衛は毎年の年末には、かかしの数だけ膳を用意して、お礼をしたそうです。