【昔話】うとう峠【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに猟師が住んでいました。
この猟師は、妻に死なれてから生活が荒れ、村の掟をも破ってしまったので、ついに子どもとともに村を追い出されてしまいました。
都へ向かおうと思った漁師がとある場所で休んでいると、岩穴から「うとう」という珍しい鳥が顔を出しました。
こいつを都で売れば儲かると思った漁師は、鳴き真似をしてヒナを捕まえました。
そしてヒナを持って都へ出かけましたが、うとうの親鳥が追ってきました。
漁師は都を目指して昼も夜も歩き続けましたが、うとうの親鳥はどこまでも追ってきました。
吹雪になっても漁師は子どもを背負って必死に歩いていましたが、その時うとうの声が聞こえました。
漁師は「どんなことがあってもこのヒナは都へ持って行くぞ」と叫びました。
翌朝、近くを通りかかった村人が、漁師が倒れているのを見つけました。
慌てて駆け寄って起こしてみると漁師は子どもをかばうように倒れており、子どもは無事でしたが漁師は亡くなっていました。
そのすぐ近くに鳥が死んでおり、その下にはヒナがうずくまっていました。
村人が拾い上げてみるとヒナははばたき出しました。
漁師も、うとうの親鳥も、わが子を守ったのでした。