あらすじ君

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【昔話】宝の大釜【あらすじ・ネタバレ】

むかしむかしあるところに百姓の五作が住んでいました。
五作の家にはとても大きな釜があり、この大釜には昔から「この釜は家の守り本尊。お宝の逃げぬ為の重し。動かせば盗っ人に楽に仕事をさせる」という言い伝えがありました。
五作はこの言い伝えの意味が分からないまま大釜を家宝として守っていました。

五作はいつも大釜が盗まれていない気になって、家中の戸や扉が開かないようにつっかい棒をして出かけていましたが、それでも心配で畑仕事が手につかない日が続いていました。
夜には物音ひとつで十分に眠ることもできませんでした。

ある夜、五作は釜の中に入っていれば気がつかない間に盗まれることもないだろうと思いつき、釜の中に入ってぐっすりと眠っていました。ところがその夜、泥棒が戸を破って現れ、五作が中に入っていることにも気づかずに大釜を持って外へ出てしまいました。

大釜をすんなりと持ち上げてしまう程の怪力男に見つかったらひねり殺されてしまうと思った五作は、釜から出るに出られずにいました。
そうこうしているうちに、腹を空かせた泥棒が何か食べ物でも入っていないかと、釜のフタを開けました。
五作は開き直って立ち上がり、夢中で釜の言い伝えを唱え続けました。
それを聞いた泥棒は喜んで五作を置いてどこかへ飛んでいってしまいました。

次の日、五作が大釜を引きずって家に戻ってみると、大釜が置いてあった床が剥がされ軒下の地面に穴が開いていました。
「お宝の場所を教えてくれてありがとう」と、泥棒からの置手紙を見つけ、そこで初めて五作は、床下に宝が埋めてあったのだと気づき、後悔しました。

しかし思い直してみると、宝がなくなったおかげで五作の心配事はすっかりなくなりました。
五作は夜にぐっすり眠れるようになり、昼は畑仕事に精を出して、のびのび幸せに暮らしました。


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