【昔話】三本足のカラス【あらすじ・ネタバレ】

ある年の夏、武蔵の国はとても暑い日が続き田畑の作物は全て枯れてしまいました。
どうしたわけかこの年に限って、空には太陽が2つも輝いていたので、燃えるように熱い日が続いたのです。

この話を聞いた都に住む天子さまはとても心配して、弓の名人を連れてくるように命じました。
2つの太陽のうち、どちらか1つが魔物であると考えた天子さまはこれを射落とそうとしました。
すると家来のひとりが、それはそれは巨大な大男を連れてきました。
この大男は飛ぶ鳥でもいとも簡単に矢で射止めてしまうという弓の名人でした。
大男は大きな弓と大きな矢を1本持ち、都を後にして武蔵の国へ向かいました。

何日もかけて大男はやっと武蔵の国に到着しましたが、じりじりと焼けるような強い日差しが大男を襲いました。
大男が歩いていると髪の毛に火がつき、さらに進むと今度は着ている服が焼かれるという強い陽射しでした。
大男はあまりの暑さに耐えられなくなり、とうとう倒れてしまいました。
ところがちょうどその時、日が沈み始めたので大男は命拾いしました。

大男が目を覚ますと、ちょうど夜が明けて太陽が上がってくるところでした。
大男は高い丘の上にのぼり、どちらが本物の太陽かを見極めようとしました。
すると片方の太陽が正体を現すかのように大男のほうへ迫ってきました。

大男は迫ってくる太陽に向かって思い切り弓をひきました。
すると大きな悲鳴とともに、太陽は落ちていきました。
太陽が落ちた先を村人が追いかけると、そこには山ほどの大きさの大カラスが心臓を射抜かれ死んでいました。
そしてこのカラスには足が3本もあったのです。

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