【昔話】ちごちごの花【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、信州にある美しい奈良井川のほとりに、大金持ちの長者が住んでいました。
子どもがいなかった長者は、ある夜のこと、先祖が悪さをしたのでその償いに何か良いことをすれば子どもを授かるだろうという、お告げのような夢を見ました。
そこで長者は、八幡原の村のために水を引き、村で田んぼが作れるようにしました。
するとある日、川から可愛らしい男の赤ん坊が流れてきました。
赤ん坊は長者の宝として大切に育てられ、村でも評判の美少年に育ち「ちご様」と呼ばれ愛されていました。
ある年、全く雨が降らず農作物の収穫量が激減した秋の終わりに、1人の貧しい女が村を訪れました。
女は、10年前に川に男の子を流したと言いました。
調べてみると女はちご様の母親で、一目だけでも我が子を見たいと、長者屋敷の井戸を借り寄りました。
すると、庭に出ていたちご様は、汚い身なりの女を棒で叩き、水も飲まさず外へ追い出してしまいました。
その夜から大雨が降り始め、やがて美しい奈良井川が氾濫し、長者屋敷を押し流しました。
長者屋敷は跡形もなくなったのですが、ただ1つ井戸だけが残されました。
数年後、井戸の周りに赤紫の小さな花が咲き、この花の可愛らしさから「ちごちごの花」と呼ぶようになりました。