【昔話】鬼婆の羽織【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、とても美しい娘が住んでいました。
娘の結婚相手である弥九郎は、とてもお金持ちだったので、娘は何不自由なく幸せに暮らしていました。
ある日、山仕事に出かけた娘は村人たちとはぐれてしまい、1人で山の中をさまよっていました。
雪の中、1軒の家を見つけた娘が戸をたたくと、なんと鬼婆の家でした。
疲れきっていた娘は、鬼婆の家に泊めてもらうことにしました。
170年も生きてきたという鬼婆は、これまでこんなに美しい娘は見たことがありませんでした。
ぐっすりと眠っている娘の寝顔を見ながら、鬼婆は恐ろしいことを思いつきました。
翌朝、鬼婆は命を助けてるかわりに美しい羽織を着るようにと娘に言いました。
羽織を着た娘は、しわしわの老婆になってしまいました。
羽織を脱ぐことができない娘は、こんな姿なら殺して欲しいと泣きましたが、鬼婆はその姿のまま村へ帰るように言いました。
老婆になってしまった娘は、泣きながら村へ帰ると、炭焼き小屋の店主からは追い払われ、結婚相手の弥九郎にも気づいてもらえず、誰にも助けてもらえませんでした。
娘は絶望し、川へ飛び込んで死のうとしていると、村で1番貧乏な八吉が自宅へ連れ帰ってくれました。
八吉が作ってくれた温かいお粥を食べると、不思議なことに鬼婆の羽織は脱げ、老婆は元の美しい娘に戻りました。
娘は優しい八吉と結婚し、2人で一生懸命働き、村1番の長者になりました。
やがて可愛い子どもも生まれ、鬼婆からもらった羽織を宝物にして、末永く幸せに暮らしました。