【昔話】鰻沢【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村で、お祭りが行われ、その後に鰻を取ることになりました。
若者たちは「毒もみ」といって木の幹や根っこから毒を取ってそれを団子にして、川に投げ込むという方法で鰻を取ることにしました。
簡単な小屋を作ってみんなで粟飯を食べていると、小屋に娘がやってきました。
娘は、若者たちに「毒もみは止めてほしい」と言いました。
驚いた若者たちは、娘に粟飯をすすめました。
粟飯を食べる娘を見ると、首筋に大きな傷痕があるのを見つけました。
娘は粟飯を食べ終わると「私はもう帰ります。絶対に毒もみはやめてください」と念を押して帰っていきました。
しかし若者たちは、娘の言葉を無視して毒もみをはじめました。
団子を池に投げ込むと、鰻や魚が浮び、若者たちの方へ流れてきました。
大喜びで魚を取りあげると、しばらくして巨大な鰻が浮かんで若者たちの方へ流れてきました。
この沢の主だ、と大喜びで1人の若者が鰻をさばいてみると、鰻の腹から粟粒がこぼれてきました。
そして鰻のエラの部分を見ると、あの娘と同じ大きな傷がありました。
男は大慌てで逃げ出すと、それを聞いた別の若者たちも鰻の傷を見て慌てて逃げ出しました。
あの時、鰻の主が娘に化けて命乞い来ていたのです。
村人たちはこの沢を「鰻沢」と呼び、それ以降近づかなくなりました。