【昔話】牛池【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、美しい水をたたえた深い池がありました。
その池のすぐ近くに小さな村がありました。
この村のある家に、いじわるで欲深いおばあさんと優しくて気の利く娘が住んでいました。
娘は、毎日毎日欲深いおばあさんに機織りをさせられていました。
娘の織る反物は上質でとても高値で売れるため、おばあさんは休ませることなく娘に織らせていました。
娘は凍えた手足を見ながら、鳥や牛に生まれた方がどれだけ幸せだったでしょう…と毎日嘆いていました。
そんなある日、窓辺に小鳥が迷い込んできました。
思わず見とれてしまった娘は、調子を乱し、縦糸をばっさりと切ってしまいました。
それを見たおばあさんは怒り、機を直すまではご飯も食べさせない!と怒鳴りました。
ようやく機を直した娘は、おばあさんが寝静まった頃、こっそりと外へ出てみました。
毎日機を織り、家の中で過ごしていた娘は久しぶりに夜空を見上げ、このままどこかへ行きたい、と泣き崩れました。
ふと気配を感じて顔を上げると、そこにはおばあさんが飼っている牛がいました。
牛は娘を背中に乗せて、月光の中をゆっくりゆっくりと歩き出しました。
こうして牛と娘の姿は見えなくなり、それっきり誰もその姿を見ることはなくなりました。
長い年月が過ぎた頃、牛と娘が消えた山の池は「牛池」と呼ばれるようになりました。