【昔話】寿命の延びる石【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、1匹の大蛇がいました。
この大蛇が息を吐けば、辺りの木々を焼き尽し、土手を切っては大洪水を起こすなど、村人たちから恐れられていました。
大沼池の主である竜神が何度も悪さをしないように大蛇に言い聞かせましたが、大蛇は聞く耳を持つどころか、その悪さはひどくなる一方でした。
そこで竜神は、大蛇を小坊主の姿に変えてしまいました。
そして、山を下りて温泉寺で修行をして心を入れ替えるように命令しました。
小坊主になった大蛇が温泉寺の住職を見ると、住職にはいつも子どもや小鳥たちが寄り添い、その優しくて温かい人柄はそこら中に広がっているようにも思えました。
大蛇はこの住職の姿に心を打たれ、迷わず弟子入りを願い出ました。
こうして小坊主になった大蛇は、住職の元で読経や座禅のなどの修業を行い、立派な僧となって大沼池に帰ることになりました。
大蛇は大沼池に帰ってからも、毎月立派な椀を温泉寺に送り続けました。
ところがこの椀があまりにも立派過ぎたため、ある日温泉寺に泥棒が入り、椀と一緒に大事な仏像まで盗んで行ってしまいました。
立派なものを送るとかえって迷惑になると思った大蛇は、その日から椀を送らなくなりました。
その代わりに、温泉寺の池の淵には、美しく磨き上げられた丸石を送るようになりました。
そして不思議なことに、この丸石が送られて来る度に、年老いた住職の寿命が延びるのでした。
この丸石は、今でも温泉寺に石塔として残っているそうです。