【昔話】桜大明神【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに酒作りが盛んな土地がありました。
浜には大きな酒蔵が並び、そこには、蔵元の旦那たちと囲碁の相手をする桜の翁と名乗るおじいさんがいました。
桜の翁は、何よりも酒が大好きだと言いました。
村の寄り合いで、碁の相手をした帰りに酒をひょうたんに入れてもらって帰りました。
桜の翁がどこへ帰るのかは誰も知りませんでしたし、みんなから好かれていたので誰も気にしていませんでした。
そんなある日、碁の相手をした帰りに酒を汲んでもらっていると、匂いがしてきました。
桜の翁がこの匂いが何なのかと尋ねると、樽の後ろを見るとねずみ取りに油あげがついていました。
桜の翁は、油あげを見つけた瞬間、目を大きく開き、よだれをたらして油あげに手を差し出しました。
すると、桜の翁はねずみ取りに手をはさまれてしまい、大きな声で叫びながら酒蔵から出て逃げようとしました。
ところが、門の前には犬がいたので門を閉めて他の酒蔵の方へ走って行きました。
それを見ていた下男たちが近づくと、桜の翁の姿はなく、酒樽からぶくぶくと泡の音がしていました。
翌日、下男がその酒蔵を見回りをしていると、酒樽の中に大きなきつねが浮かんでいました。
蔵元の旦那たちは、近くの桜の木の下に祠を作り、このきつねを手厚く葬ってあげました。
そして、この祠に酒をお供えするようになったそうです。