【昔話】水神さまと虹の橋【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村のはずれに、風変りなおばあさんが住んでいました。
おばあさんは、丘の上にある水神塚の祠に毎日手を合わせていました。
「水が何よりもありがたい。水を粗末に扱えば罰があたる。」と言いながら川の掃除をしていました。
ところが村人たちは、おばあさんのことを「川ばあさん」と呼んでバカにして、おばあさんの言うことを聞きませんでした。
それだけでなく、川にゴミを捨てて汚していました。
ある夏、これまでにないほどの日照りが村を襲いました。
日照りは70日以上も続き、川の水は干上がり、田畑の作物は枯れ始めました。
村人たちが雨乞いする中、おばあさんは1人で祠の前で祈っていました。
村人たちが川を汚したので、水神さまが怒って雨を降らせないのだと思ったおばあさんは、村人に代わり水神さまにお詫びをしていました。
すると77日目に、ようやく雨が降り始めました。
しかし村人たちは雨が降り出すと、また川にゴミを捨てるようになりました。
そのすぐ後に、空には雷鳴がとどろき、突然雨が降り出しました。
川の水はみるみるうちに増え、村の田畑や家を押し流していきました。
村人たちは必死になって逃げ、村の高台にある寺に逃げ込みましたが、おばあさんだけは祠の前で祈り、水神さまの怒りを鎮めようとしていました。
濁流はおばあさんと祠を呑み込もうとする勢いでした。
その時、水神さまの祠から、村の高台にかけて大きな虹がかかりました。
そして不思議なことに、おばあさんはその虹の上を歩いていたのでした。
こうしておばあさんは虹の橋を渡って、無事高台に降り立つことができました。
これを見た村人たちは、今までの行いを恥じ、その後決して川を汚すことはありませんでした。