【昔話】耳なし芳一【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし阿弥陀寺というお寺に、びわ法師の芳一という男がいました。
芳一は幼い頃から目が不自由でしたが、びわの弾き語りは師匠をしのぐ腕前でした。
ある暑い夏の夜、お寺で芳一がびわの稽古をしていると、びわの弾き語りが聞きたいという人がやってきました。
芳一はその人の後をついていくと大きな屋敷へ通され、そこでびわを弾いて聞かせました。
すると、周囲から声をつまらせながら泣いている声が聞こえてきた後に女の声で「今夜から三日間弾き語りを聞かせてほしい。またこのことは誰にも言わないように」と告げられました。
翌朝、寺に戻った芳一は、和尚から昨晩不在だった理由を問い詰められましたが、女に言われた通り何も話しませんでした。
和尚は夜にこっそり寺を抜け出す芳一の後をつけてみると、安徳天皇の墓の前でびわを弾いている芳一の姿を見つけました。
芳一が亡霊に憑りつかれていると分かった和尚は、芳一の体中に経文を書き、誰に話しかけられても声を出してはならないと言い聞かせました。
その夜、また亡霊が芳一を迎えに来ましたが、経文に守られていた芳一の体は亡霊には見えませんでした。
しかし和尚が芳一の耳にだけ経文を書き忘れてしまったため、亡霊には芳一の両耳だけが見えていました。
亡霊は見えている芳一の両耳をもぎ取りました。