【昔話】たぬきの糸車【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、木こりの夫婦が住んでいました。
夫婦は山奥で生活していたので、ときどきたぬきがやってきて食べ物を食い散らかしたり、いたずらをするようになりました。
そこで木こりはたぬきを捕まえるために罠を仕掛けました。
ある晩、奥さんが糸車をまわして糸をつむいでいると、障子の隙間からたぬきがこちらを覗いていました。
たぬくは奥さんの真似をして糸車をまわす格好をしていました。
それを見た奥さんがとても喜んだので、たぬきは毎晩やってきて糸車をまわす真似を繰り返しました。
しばらく経ったある日、裏山でおかしな声が聞こえたので奥さんが見に行くと、たぬきが罠にかかっていました。
かわいそうに思った奥さんは罠を解き、たぬきを森へ帰してあげました。
寒い冬がやって来ると、木こりの夫婦は山をおりて生活をしていましたが、奥さんは時々たぬきのことを思い出していました。
こうして長い冬が終わり、春がやって来ると木こり夫婦はまや山の家で戻りました。
家に入るとほこりだらけになっているはずの糸車がぴかぴかに磨かれていました。
奥さんは不思議に思いながらも、土間で食事の支度をしているとキーカラカラ、キーカラカラと糸車をまわす音が聞こえてきました。
ふと座敷を見ると、たぬきが上手に糸車をまわして糸をつむいでいたのです。
たぬきは奥さんがしていた通り、巻き終わると糸をはずしてきれいにまとめて積み重ねていました。
たぬきは奥さんに気がつくとペコリと頭を下げ、森へと帰っていきました。
奥さんはいつまでもいつまでも、たぬきの後姿を見送りました。