【昔話】塩ふき臼【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、百姓の兄弟がいました。
兄は欲張りで大きな家に住み、弟は正直者なのですがとても貧乏でした。
ある年の暮れに弟は米と味噌を借りに兄の家に行ったのですが、欲張りな兄は貸してくれませんでした。
仕方なくしょんぼり帰っていると、老人が声をかけてきました。
その老人は、この先にある洞穴に行って石でできた動くものを持ってくるようにと言いました。
弟は言われるままにそこへ向かうと、石臼があったのでそれを持って老人のところへ帰りました。
すると老人は、「それは何でも欲しいものが出てくる石臼です。右に回すと欲しいものが出て、左に回すと止まる」と言い、姿を消しました。
弟は騙されているのだろうと思いつつ、石臼を家に持ち帰り、「米出ろ!」と言って石臼を右に回すと、老人が言った通り米が次から次へと出てきました。
こうして弟はあっという間に裕福な長者になり、他の貧しい人たちにも石臼から出たものを分け与えました。
弟が突然長者になったことを不思議に思った兄は、石臼のことを知って盗み出し、船に乗り海の向こうの国で大金持ちになろうと企みました。
弟の家から持ってきた饅頭を食べた後、塩が欲しくなり、さっそく石臼を回して塩を出したのですが、止め方を知らなかったので塩が次から次へと出てついに船は塩の重さで沈んでしまいました。
今でも石臼は海の底で塩を出し続けているのです。