【昔話】縁持ち狸【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、村人たちからとても慕われている庄屋がいました。
この庄屋は裏山に住むたぬきとも仲が良く、家族ぐるみで深く付き合っていました。
庄屋には愛という一人娘がいて、来春には働き者の権助と結婚する予定でした。
そんなある日、岩国のご家老が庄屋の屋敷に立ち寄った際、お茶を出してくれた愛に一目惚れしてしまいました。
庄屋は何とか断ろうとしましたが、愛に夢中だったご家老は「嫁にくれなければ家をとり潰すぞ」と脅しました。
困った庄屋はたぬきに知恵を借りようと、手土産を持って裏山に出かけました。
たぬきは、快く縁を取り持つことを引き受けてくれました。
さっそくたぬきは庄屋の奥さんに化けて、ご家老の屋敷に乗り込みました。
座敷に通されたたぬきは、「愛を産んだ私は、実はたぬきなのです…」と言い、元の姿に戻ってみせました。
驚いたご家老は、2度と庄屋の家には近づきませんでした。
こうして愛はめでたく権助のところへ嫁入りすることができました。