【昔話】白狐の大芝居【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、お常というやさしいおばあさんが住んでいました。
ある日、お常は、峠を越えたところにある浜へ出かけた帰り道に、どこからか祭り太鼓の音が聞こえてきました。
そこで提灯を持った人々の行列と出くわしました。
なんでも、峠の芝居小屋に芝居を見に行くということなので、祭りや芝居が好きなお常は一幕だけ見ていこうと小屋に入りました。
小屋の中では、田舎芝居とは思えないほどの名演技で、お常はすっかり見入ってしまいました。
おいしいいなりずしとぼたもちを食べながら、結局最後の演目「葛の葉」を涙を流しながら鑑賞していました。
芝居が終わって外へ出ると、夜も明けはじめる頃で、お常は足早に自宅へ帰りました。
ところが、この話を聞いた嫁は、それはきつねの仕業に違いないと言いました。
見事な芝居は「白嬢」というきつねの仕業で、いなりずしは馬糞、ぼたもちは牛糞、だと言い張りました。
嫁の話を信じたくないお常は、その晩、もう1度白峠へ出かけていきました。
するとそこには芝居小屋などなく、行列の提灯はきつね火で、芝居をしているのはなんときつねでした。
しかし、きつねの演じる芝居はやっぱり名演技で、そのうちお常はまたまた見入ってしまいました。
きつねたちは人を騙すつもりもないので、馬糞や牛糞を食わせたわけでもなく、きつねたちが集まって気ままに芝居を楽しんでいました。