【昔話】猫山の話【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに大きな屋敷があって、そこには両親から離れて年季奉公に来ているお梅という娘が住んでいました。
ひとりぼっちのお梅は、首に鈴つけた猫に「鈴」と名前をつけて、とても可愛がっていました。
ところがある日、突然鈴がいなくなってしまいました。
お梅はあちこち探してまわりましたが、鈴が見つかることはありませんでした。
旅のお坊さんから、いなばにある猫山に行けば恋しい猫に会えると聞いたお梅は、屋敷から休みをもらい猫山に向けて出発しました。
お梅は何日も歩き続けて、やっと猫山に到着しました。
そうして山の中の大きな屋敷に泊めてもらうことになったお梅は、その夜、隣の部屋から人の話し声を聞きました。
気になったお梅が覗いてみると、驚いたことに人の姿をした大きな化け猫たちがお梅を食い殺す計画を立てていました。
恐ろしくて震えていると、懐かしい鈴の音が聞こえ、お梅の部屋に1匹の猫が入ってきました。
なんとそれは突然姿を消した鈴だったのでした。
鈴は、「ここは日本中の老い猫が集まる場所で、人間の来るところではありません。すぐに逃げてください」と言いました。
それから、もし猫に襲われたらこれを見せるようにと、白い包みを渡してくれました。
大急ぎで逃げようとするお梅を、屋敷の門の所でたくさんの化け猫たちが待ち伏せしていました。
お梅は鈴に渡された白い包みを化け猫たちの前に突き出しました。
すると化け猫たちは後ずさりして屋敷の中に逃げ込んで行きました。
ふと見上げると、遠くから鈴がお梅を見送っていました。
無事、国に戻ることができたお梅は、鈴に渡された包みを開けてみました。
するとそこには、恐ろしい形相の犬が小判を十枚咥えている絵が描かれていました。
そうしてその小判は、お梅の掌に舞い落ち、お梅は鈴からもらった小判のおかげで年季奉公も開け、両親の元に帰って幸せに暮らしました。