【昔話】死神【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに男が住んでいました。
男が夜道を歩いていると、前から白い服を着た変な者がやってきました。
不思議に思った男は、白い者に「お前は何者だ?」と聞くと、 「死神だ」と答えました。
死神は男に「私が病人の尻の方に座ると病人は死んでしまう。しかし頭の方に座ると病人は治る。だから明日から医者になれ」と言いい、男に呪文を教えると消えてしまいました。
死神にこう言われたことがきっかけで、男は翌日から偽医者になってしまいました。
ある日、金持ちの旦那が病気になったと言うので診察に行くことになりました。
部屋を見回すと死神が病人の尻の方に座っているのを見つけ、もう助からないと男は首を横に振りました。
家の者は慌てて、何とか助けてくれたらいくらでも支払います、と言いました。
男は考えて、家の者を廊下に集めて「病人の布団を持ち上げて頭と尻を逆にすれば助かります」と教えました。
家の者は、言われた通り布団を持ち上げ、頭と尻を入れ替えました。
すると旦那はたちまち元気なり、男は大金を手に入れました。
しかしこれに怒った死神は、決まりごとを破ったからには死んでもらうと、声を荒げました。
死神は、ろうそくが並んだ場所に男を連れて行き、「これは寿命のろうそくです。このろうそくが燃え尽きたとき、人間の一生が終わる」と教え、男のろうそくを取り出しました。
男のろうそくは今にも燃え尽きそうに小さくなっていました。
死神は、ちょうちんのろうそくを取り出し、死にたくなければこれをつぎ足せと言いました。
男は震える手でろうそくをつぎ足そうとしましたが、その時、風が吹いてろうそくの火が消えてしまいました。
その途端、男は死んでしまいました。