【昔話】名主がくれた苗【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、久作と久助という正直者の百姓親子がいました。
ある年、2人は苗代に種もみをまいたのですが、どうしたことか、どれも芽が出ませんでした。
困った親子は、欲深いな名主から、余っていたもち米の苗を分けてもらうことにしました。
飯などで食べるうるち米とは種類が異なるのですが、親子はさっそく田んぼに植えて丹精込めて世話をしました。
稲が順調に成長した頃、名主が「わたしから盗んだもち苗を返せ」と言い出しました。
あれは分けてもらった苗なのに…と思った久作は、思わず「あれはうるち苗だから違います」と言ってしまいました。
すると名主は「もし、もち米が実った時は全ての稲を刈り取る」という証文を作って収穫時期を待ちました。
親子は村の鎮守さまである神社に、無実の罪を晴らしてもらうようお祈りしました。
秋になり、立派に育った稲にはやはりもち米が実りました。
名主は証文通り、全部の稲を刈り取ろうとした時、もち米が目の前でうるち米に変わっていきました。
こうして親子は無事に米を収穫することができ、この話を聞いた村人たちはありがたい神社さまを拝んだということです。