【昔話】家宝の皿【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、大金持ちの男がいました。
この家には先祖代々、家宝として唐土の青磁といわれる青い皿が受け継がれていました。
男もこの皿を大切にしており、桐の箱から取り出してはうっとりと眺める毎日を送っていました。
ある時、友人と食事に出かけました。
その店は、大切なお客様には特別なお皿でご馳走を出してくるというちょっと名の知れた店でした。
男は出されたご馳走に舌鼓を打っていましたが、盛付けられている皿がわが家の家宝の皿と全く同じであることに気がつきました。
男は大急ぎで自宅へ戻り家宝の皿を確認すると、桐の箱にきちんと収まった状態で保管されていました。
男は、二つとない立派な名器である家宝の皿が二つもあるとわが家の名前に傷がついてしまう、と考え、店主に皿を30両で譲って欲しいと願い出ました。
店主は、「家宝の皿なので、どんな額でも譲るつもりはない」と断りましたが、男は30両を投げ渡し、無理やり皿を取り上げて庭に駆け出しました。
そして男は庭に皿を投げつけて粉々に砕いてしまいました。
これで皿は世の中に一つだけになった、と安心して自宅へ帰りました。
自宅へ帰り、いつものように家宝の皿を眺めようと桐の箱を開けてみると、不思議なことに皿は粉々に砕けていて、箱の裏から30両が落ちてきました。