【昔話】キツネの道送り【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、お仙じょと呼ばれる岩切り場がありました。
このお仙じょには、人を騙すというキツネが住みついていました。
ある日、村に住む米さんが帰り道にお仙じょを通りかかると、どこからか人の足音が聞こえました。
米さんは怖くなって大急ぎで走って家に帰りましたが、お土産にもらったご馳走をキツネに取られてしまいました。
またある時、おばあさんが町でたくさん買い物をした帰りに、お仙じょの前を通りかかりました。
するとまた、人の足音が聞こえてきました。
おばあさんは「キツネか!わたしものは渡しませんよ!」と威嚇しましたが、結局は買ってきたものを全て取られてしまいました。
怒った村人たちは「毒まんじゅうを作ってキツネに食べさせよう」と話し合いました。
この話を知った定助は、それはかわいそうだと反対したのですが、村人たちは聞き入れませんでした。
翌朝、定助はキツネのことが心配になり、巣穴を覗いてみました。
すると母キツネが子キツネを2匹抱いたまま死んでいました。
かなしんだ定助は、それから村人たちとは一切口をきかなかくなり、石切り場へ毎日通いました。
それからしばらくして、岩場には立派な地蔵さまが刻まれていました。
定助が掘ったものに違いありませんが、定助の姿はどこにも見当たりませんでした。