【昔話】天からの食い物【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、神さまが天と地と生き物を作ったばかりの頃、人間は特にすることもなく毎日を過ごしていました。
ある時、神さまはふと人間は一体何を食べているのかと疑問に思いました。
早速、家来が地上に降りて調べてみると、人間はお腹が減る大口を開けて雨水を飲み、空腹を満たしていたのでした。
それを聞いた神さまは、それでは人間が可哀相だと思い、天から食べ物を降らせました。
白いご飯を炊いたものだったのですが、それを食べた人間たちは、あまりの美味しさに大喜びしました。
その日から1日1回白いご飯を降らせてあげることにしました。
天からの食べたものをしばらく続けた神さまは、その後人間はどうしているのかと気になって調べてみると、人間たちは余ったご飯をまりのように蹴って遊んでいたのです。
それを知った神さまは怒り、2度とご飯を降らせることはありませんでした。
人間たちは白いご飯を食べることができなくなり、毎日空腹のまま過ごしていましたが、美味しいご飯の味を覚えてしまったために以前のように雨水を飲む気にもなれませんでした。
そんな日が続いたある日、人間たちは天に向かって「白いもん降ってこーい!!」と大声で叫び始めました。
その声は天の上の神さまの耳にも届きました。
その声があまりにうるさいので、神さまはご飯もろくにのどを通らなくなってしまいました。
そして、そんなに欲しければ降らせてやると、神さまは白い雪を降らせてやりました。
こうして食べ物をおもちゃにした人間たちは、寒い「冬」というものを迎えなくてはならなくなりました。