【昔話】雪娘【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山奥に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある雪深い夜、おじいさんとおばあさんは囲炉裏の前で麓の村へ嫁に行った娘のことを話していました。
毎年春になったら、2人に会いに来るという約束だったので、2人は春が来るのをとても楽しみにしていました。
すると戸の向こうから「こんばんは」という声が聞こえたのでおばあさんが戸を開けてみると、自分の娘によく似た娘が立っていました。
おばあさんは冷え切った娘の手を取り、部屋の中へ招き入れました。
娘は、「もっと北の方へ行かなければならないのです」と言ったきり、どんな質問にも答えませんでした。
おじいさんとおばあさんが自分たちの娘の話を聞かせると、娘は涙を流し、手の上で粉雪になって散りました。
おじいさんが食事をすすめても、娘は全て断り、「私がいると春がやってこないので、娘さんは帰ってこられません」と言いました。
部屋の中は暖かいのに、娘の手はまだ氷のように冷え切っていました。
娘が立ち上がると外がまた吹雪き出して、囲炉裏の火が消え、冷たい風に乗って雪が家の中に入ってきました。
娘の体はみるみるうちに雪に変わり、煙のようになって天井の煙出しからすーっと消えてしまいました。
おじいさんはたぬきに化かされたのかと驚いていましたが、おばあさんは「あれは雪娘です。雪娘を暖めようとすると、北風が迎えにくるそうです。雪娘の手は氷のように冷たくて、触ると凍え死ぬとも言われています…」と言いました。
しかし、おじいさんとおばあさんは雪娘の手に触って死にませんでした。
2人はなんとなく雪娘が自分の娘のように思えて、涙を流しました。
翌日は昨夜とは違って暖かい日で、自分の娘が帰ってきました。