【昔話】極楽もどり【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、漬け物を漬けるのが上手なおばあさんが住んでいました。
おばあさんはおじいさんと死に別れ、一人暮らしをしているのですが、人に助けを借りるのが嫌いで、誰かがおばあさんの畑仕事を手伝おうとしても、おばあさんは1人でやると言って聞かなかった。
そんな頑固なおばあさんだったのですが、おいしいと評判の手作りの漬け物は村人たちに惜しげもなく分ける与える気立ての良さもあり、村人たちからはとても親しまれていました。
ある夏の日、おばあさんが畑で白瓜の収穫をしていると、どこからともなく不気味な男が現れました。
男は鐘を叩きながら「極楽往生、極楽往生…」と呟くと、ふっと煙のように姿を消してしまいました。
すると、おばあさんは突然その場に倒れ、そのまま息を引き取ってしまいました。
おばあさんは村人たちに大変慕われていたので、葬式にも多くの人が集まり、誰もが突然の死を哀しみました。
ところが、葬式の最中、棺桶からおばあさんの声が聞こえたかと思うと、突然おばあさんが棺桶から這い出してきました。
何かに取り憑かれたと思った村人もいましたが、それは間違いなくおばあさんで、おばあさんは生き返ったのでした。
そこで、村人たちが何が起きていたのかとたずねると、おばあさんは、自分が体験したことを話し出しました。
おばあさんは、極楽の入口まで来たところで、何か忘れ物をしたような、そんな気持ちになりました。
頑固者のおばあさんは、思い出さないと気がすまないので、極楽へ続く橋の途中で立ち止まっていると、まだ白瓜を着けていないことを思い出して、急いで下界に下りて来たのだと言いました。
これを聞いた村人たちは、呆れるやら関心するやらで声が出ませんでしたが、おばあさんらしいとみんなで笑いました。