【昔話】千石田長者【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、徳平という若者と母親が住んでいました。
ある日、徳平は川のほとりで、立派なマスを釣り上げた子どもたちと出会いました。
そのマスがあまりにも美しかったので、徳平は草履を売ったお金でマスを買い上げました。
そして、マスが生きている間に、川に放してあげました。
それから2,3日経ったある日、洗濯していた母親が川に流されてしまったところを、美しい娘が助けてくれました。
その娘は、両親を亡くして身寄りがないということだったので、そのまま徳平の嫁として迎え入れました。
徳平と娘は楽しい毎日を送っていましたが、1年たったある夜、徳平の夢の中に娘が出てきて、実は私はあの時のマスで、もう帰らないといけないと言いました。
翌朝、目を覚ました徳平は、娘がいなくなっていることに気が付きました。
雨の中をあちこち探しましたが、娘の姿はどこにもありませんでした。
徳平が川のほとりに来た時、娘が編んだ縄でその周辺の荒れ地一帯が囲ってありました。
やがて大雨で増水した川が豊かな土を運んできて、その周辺は立派な田んぼになりました。
徳平はこの土地を耕し、後々、千石田長者と言われるようになりました。