【昔話】かえるの子はかえる【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし山奥の小さな池にカエルの夫婦が住んでいました。
カエルの夫婦は、同じ池に住む鯉やナマズの泳ぎっぷりをとてもうらやましく思っていました。
ある年、カエルの夫婦に子どもが生まれたのですが、まだオタマジャクシだったのでその姿は自分たちとは全く似ていませんでした。
カエルの夫婦は自分たちの子どもを見て、「ナマズにそっくりなのできっとその内ヒゲが生えてくるに違いない」や、「鯉にそっくりなので立派な鯉になるに違いない」と言って大喜びで子どもを大事に育てていました。
父は自分の子どもは大きくなったら鯉かナマズになるんだ!と、周囲に言いふらしていたので池に住むカメやメダカは呆れていました。
ところがある日、子どもの体に2本の足が生えてきました。
カエルの夫婦は驚きましたが、「きっと、この子は大きくなったら龍になるに違いない」と、また喜びました。
それからしばらくして、子どもの体に今度は2本の手が生えてきました。
カエルの夫婦はいよいよこの子は龍になるんだと喜び、立派な体を見せてくれと子どもに言いました。
ところが水から上がった子どもの体をよく見ると、尻尾などなくて自分たちにそっくりでした。
子どもは池に飛び込むと、元気いっぱいに泳ぎ出しました。
鯉よりもナマズよりもはるかに速く立派に泳いでいました。
こうしてカエルの夫婦と、夫婦にそっくりな子どもは池で楽しく泳ぎ暮らしました。