【昔話】アリの宮城【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、魚売りの吾一という優しい働き者の男が住んでいました。
ある大雨の降る日、吾一は雨に流されそうになっていたアリを助けてあげました。
翌日、同じ場所を通りかかると、大男が立っており「昨日はアリを助けてくれてありがとうございました」と声をかけてきました。
吾一は大男に連れられ、崖にあった小さな穴に入りました。
すると不思議なことに穴の中には見たこともない世界が広がっていて、その先には立派なアリのお城があり、アリのお姫さまから大歓迎されました。
すっかりご馳走になった吾一が家に帰ろうとすると、お姫さまが立派な小袖をお土産にくれました。
「この小袖を着て袖を一振りすると、望むものが何でも出てきます。ただこの着物は誰にも見せてはいけません」と言い、吾一を家へ送り出してくれました。
家に帰った吾一は、小袖を隠して1人でコッソリ使うようになり、それ以来仕事も辞めてしまいました。
それなのに立派な着物を着て昼間から酒を飲んで遊んでいる吾一を見て、妻は怪しんでいました。
妻は吾一が遊びに出かけている間に、隠してあった美しい小袖を見つけました。
妻はこの小袖を愛人の着物だと勘違いして、嫉妬心から囲炉裏で燃やしてしまいました。
小袖はみるみるうちに燃え上がり、その炎は吾一の家にも燃え移りました。
吾一の家はすっかり燃え尽きてしまい、小袖も袖のところが燃え落ちていました。
吾一はすっかり落胆しましたが、また魚売りの仕事に戻り、夫婦仲良く末永く暮らしました。