【昔話】馬をかつぐ【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、お人よしの父と息子が住んでいました。
ある日、父子は3年間大事に育てた馬を町まで売りに行くことになりました。
そこで、息子が馬に乗り、それを父がひいて向かうことにして町まで歩いていると、父子を見かけたおばあさんに突然怒鳴られました。
おばあさんは、「若い息子が馬に乗って、それを親にひかせるなんて、親不孝者だ!若いときに楽をすると、役立たずな人間になってしまうぞ!」と怒りました。
父子は、おばあさんの言うとおりかもしれないと思い、今度は父が馬に乗り息子がそれをひいて町まで行くことにしました。
しばらく行くと、今度は飛脚に会いました。
飛脚は父に向かって、「長生きしたいなら普段から足腰は鍛えておかなければいけませんよ」と言いました。
おばあさんには、息子が馬をひけと言われ、飛脚には父が馬をひけと言われ、お人よしの父子はすっかり困ってしまいました。
仕方なく、父子は2人で馬に乗って町まで行くことにしました。
ところが、それを見た村人たちに「たった1頭の馬に2人で乗って、馬が可哀想だ」と言われ、父子はどうすることもできなくなってしまいました。
結局、父子は2人で馬を担いで町まで行くことにしました。
馬を担ぎ棒に縛り付けて、それを2人で大汗をかきながら担いで歩く父子を見て、すれ違う村人たちはみんな大笑いしました。
ところが、ようやく町が見える峠まで来たとき、父子は馬を落としてしまいました。
馬は担ぎ棒に縛り付けられたまま、坂道を転げ落ち、あっという間に見えなくなってしまいました。
長い間育てた大事な馬を町まで売りに来た父子でしたが、人の言うことばかり真に受けて、結局は何もなくなってしまいました。