【昔話】小判の水ぼし【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、太郎という男の子がいました。
太郎は少し変わり者で、父や母の手伝いもせずに1日中のんびりしていたり、雲などをぼんやり眺めて過ごしていることもありました。
ある日のこと、朝から家でゴロゴロしている太郎を見かねて、母は太郎に山に草刈りに行くように言いました。
太郎は母の言う通り、珍しく山へと出かけていきました。
山の上からは海がよく見え、なんともキレイだったので太郎は草刈りのことなどすっかり忘れて、海を眺めていました。
太郎はいつしか山の上でうたた寝をしていました。
するとどこからか、チャリン、チャリンという妙な音が聞こえてきたので太郎が目を覚ますと、ネズミたちが小判を背負いながら山を登って来たのでした。
太郎がじっと見ていると、ネズミたちは持ってきた小判を野原に並べ始めました。
そして小判を全部並べ終わると、来た道を戻って行き、後には、野原一面に敷き詰められて小判だけが残っていました。
小判は海の光に当たって美しく輝いていたので、太郎はこの小判に目を奪われ、小判の山をただじっと眺めていました。
やがて日が暮れると、ネズミたちがまた山の上にやってきて、敷いてあった小判を担ぎ上げ、また山を下って行っていきました。
太郎も、ネズミたちの小判の虫干しが終わったので、家に帰ることにしました。
その夜、太郎が家にいると何者かが家の戸をたたきました。
父と母が出てみると、そこには昼間のネズミが立っていました。
ネズミは、太郎のおかげで猫にも襲われず、無事に小判の虫干しが出来たので、そのお礼がしたいと言い、小判を数枚置いて帰りました。
こうして太郎は、ネズミたちからお礼の小判をもらったのですが、その後も太郎は特に変わることもなく、相変わらずブラブラして暮らしていました。