【昔話】鬼の角【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、ある山の中に猟師の男とその娘が暮らしていました。
この親子が住む家の近くにはきれいな池がありましたが、鬼がいるという噂があったので村人たちが近づくことはありませんでした。
ある日、娘は父に機織りを作ってもらいました。
しかし滑りが良くて遣いやすい横糸通しがなかったため、なかなか機織りができずにいました。
そんなある日、娘は池の底で横糸通しを作るのにぴったりな木を見つけました。
大喜びでその木を拾いって作ってみると、とても滑りのよい横糸通しができました。
この横糸通しは不思議な音を奏でるので、村中で評判になりました。
ある時、娘が機織りに夢中になっていると、一人の若者がやってきて、娘が持っていた横糸通しを取り上げました。
実はこの若者は池に住む鬼で、横糸通しになっている自分の折れた角を取り返しにやってきたのです。
若者の正体を見破った父が鉄砲を撃つと、若者は鬼の姿に戻り、ケガをした足を引きずりながら池へ逃げていきました。
それからしばらく経ったある日、物寂しい夜などに池の中から機織りの音が聞こえるようになりました。
今までは怖がって近づかなかった村人たちも、池に集まり楽しく踊るようになりました。