【昔話】子取り【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村に、兵衛とおタツという夫婦が住んでいました。
夫婦には2歳になる男の子がいるのですが、作兵衛は働かずに遊んでばかりいるので、子どもの着物も買えず、食べるものにも困るような生活を送っていました。
作兵衛は、実家の父に金を無心していたのですが、ある日、父から叱られた作兵衛は今度こそ真面目に働こうと心を入れ替えて実家を出ました。
しかし、悪友たちに再び誘われて、作兵衛は誘惑に負けてまた遊んでしまいました。
その頃、家ではおタツは、いつまでも泣き続ける子どもに苛立っていました。
おタツは泣いている子どもに向かって「そんなに泣いていると子取りに取らせるぞ!」と言いました。
しかし何も食べていない子どもは腹を空かせて泣き続けました。
苛立ったおタツが「すぐそこに子取りが来ているぞ!」と怒鳴った瞬間、家の奥から巨大な毛むくじゃらの手が出てきました。
巨大な手は子どもを掴もうとしました。
驚いたおタツが子どもを抱き寄せて、作っていた餅を投げつけたので、巨大な手は餅を掴んで闇の中に消えていきました。
恐怖でおタツは気を失ってしまいました。
作兵衛が帰ってきて倒れたおタツを介抱すると、おタツは目を覚まし今日起きた出来事を話しました。
話を聞いた作兵衛は、自分の不甲斐なさを深く反省し、それからは真面目に働くようになりました。
そして、おタツも苛立っていても子取りがくるなどと嘘をつくのはやめようと深く心に誓いました。