【昔話】節分の鬼【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、妻も息子も亡くしたおじいさんが住んでいました。
おじいさんは毎日妻と息子のお墓参りすることが何よりも楽しみでした。
冬が近づき、村は深い雪に埋もれ、おじいさんも家の中にじっと閉じこもっていました。
節分の日、一人ぽっちで寂しかったので、おじいさんは雪をかきわけて妻と息子のお墓参りに出かけました。
どの家からも「鬼は外、福は内」と、楽しそうな声が聞こえてきました。
おじいさんはますます寂しくなり、涙があふれて止まりませんでした。
お墓参りから帰ったおじいさんは、息子が生きていた頃に作ってくれた鬼のお面を取り出して、昔のことを思い出していました。
妻も息子もおらず、福の神から見放されていると思ったおじいさんは、鬼のお面をかぶり「鬼は内、福は外」とちぐはぐに叫びながら豆をまきはじめました。
すると、おじいさんの家に誰かが訪ねてきました。
こんな雪の日に…と思い戸を開けると、そこには節分の豆に追われ鬼たちがいました。
この家に客人が来るなんていつぶりだろう、とおじいさんは大喜びで鬼たちを迎え入れました。
鬼たちも大喜びでおじいさんの家に集まり、持ってきた酒やごちそうで大宴会を始めました。
やがて朝になり、鬼たちは「また来年!」と嬉しそうに帰っていきました。
春になり、おじいさんは鬼たちが置いてったお金で妻と息子のために立派な墓を作り直しました。
そして、鬼たちのために長生きしたいと思うようになりました。
