【昔話】茗荷と女房【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、ごっそりと大儲けを企む、欲張りな女がいる宿屋がありました。
客にはお湯で薄めた酒を出し、食事の量も減らし、客がおかわりをしようものなら高額料金を請求するという強欲ぶりでした。
ある日この宿屋に、大金持ちの客が泊まることになりました。
女は、茗荷をたくさん食べさせて大金の入った財布を忘れさせようと考えました。
早速、茗荷料理を作り始めた女は、何度も味見をしながら旨煮を完成させました。
この日の料理は、茗荷の味噌汁、茗荷の旨煮、茗荷のおひたしでした。
翌朝、茗荷料理の美味しさに上機嫌で帰った客を見送った女は、財布の忘れ物を探しました。
あちこち探しましたが、どこにも忘れ物はなく、逆に宿賃をもらうことをすっかり忘れていました。
女は、昨夜たくさんのミョウガを味見したため、客よりも物忘れをするようになってしまっていたのです。
大急ぎで客を追いかけましたた女は、道行く人に客の行方を尋ねたのですが、正しい言葉遣いも忘れてしまい、さらに帰り道も忘れてしまい、ただただ途方に暮れてしまいました。