【昔話】魚の女房【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、海の近くに心優しい漁師が住んでいました。
漁師は必要な分だけ魚を獲り、獲り過ぎた分はいつも海へ返していました。
そんなある日、漁師の家に若くて美しい娘が訪ねてきました。
見知らぬ顔だったので漁師が驚いていると、娘は突然「嫁にしてください」と願い出てきました。
漁師の生活は貧しく、苦労することも多いので願いを断りましたが、娘が引き下がらないので、嫁にもらうことにしました。
娘は美しいだけではなく働き者で、暮らしが貧しくても文句ひとつ言いませんでした。
さらに娘が作る味噌汁が絶品で、こんなにおいしい味噌汁を飲んだことがなかった漁師は感激しました。
どうしたらこんなにおいしい味噌汁が作れるのかと娘に訊ねても、にっこりと笑うだけで教えてくれませんでした。
きっと何か秘密があるのだろうと思った漁師は、いつも通り漁に出かけるふりをしてそっと家の天井に登り、娘の様子を見ることにしました。
味噌汁を作り始めた娘の体を見てみると、なんと魚だったのです。
驚いた漁師は思わず娘に声をかけてしまいました。
秘密を知られてしまった娘は、自分は漁師に助けられた魚であることを明かしました。
恩を返すために人間に姿を変えていたけど、本当の姿を見られた以上は一緒にいられないと言い、海辺へ走っていきました。
漁師が娘を追いかけると、娘は小さな箱を手渡し、海に飛び込み魚の姿になって消えてしまいました。
娘から渡された小箱を開けると、中にはたくさんの宝石が詰まっていました。