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【昔話】わらび長者【あらすじ・ネタバレ】

むかしむかし、秩父の高篠山に長者が住んでいました。
この長者は、毎年春になると屋敷中の人を使って高篠山のわらびを採るのが習慣でした。

ある年、長者は「あの日が沈むまでに高篠山のわらびを全て採って、日が沈むまでに高篠山のわらびを全て屋敷の蔵に納めなさい」と言いました。
幼い子どもかた年寄りまで駆り出されてわらび狩りをしていましたが、1日では全てのわらびを採り尽くすことはできませんでした。
その様子を眺めていた長者は、突然愛用している扇を取り出して、夕陽よ戻れ!夕陽よ戻れ!と叫びながら扇で夕陽をあおぎました。

すると、沈みかけた夕陽が再び戻って辺りを照らし、やがて高篠山のわらびは全て採り尽くされました。
ところが、高篠山のわらびが全て蔵に納められたと同時に、蔵の中に積まれたわらびが赤とんぼに化けて次々と高篠山に戻っていきました。

季節外れの赤とんぼが群れ飛ぶ中、長者はまた扇を手に「夕陽よ戻れ」と叫びながら舞い続けました。
その内扇をひと振りする毎に屋敷が消え、蔵が消え、しまいには長者の姿も消え、後には扇と無数のわらびだけが残されました。

それ以降、高篠山はわらびの名所になりました。


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