【昔話】きつね女房【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、成信という若者が住んでいました。
ある夏の日、成信が田んぼで仕事をしていると1人の娘が通りかかり、目の前で倒れこんでしまいました。
成信は娘を家に連れて介抱し、2、3日経つと娘はすっかり良くなって、お礼に成信の身の回りを世話してくれるようになりました。
娘は自分がどこから来たのかは言わずに、成信にここに置いてほしいと言いました。
こうして娘と成信は一緒に暮らすようになりました。
その秋、2人は夫婦になり、男の子が産まれ、もりめと名付けました。
しかし、もりめが重い病気にかかってしまったのですが、成信は付きっきりで看病をしたおかげで、もりめはすっかり元気になりました。
その代わりにほったらかしにしていた田んぼは荒れ放題になっていました。
成信はなんとか田んぼを耕しましたが、明日1日で田植えをしなければならないと娘に話しました。
翌日、成信が田んぼに出かけると、田んぼに苗が埋まっていた。
しかし、苗は全て逆さまに植わっており、そのことを話すと娘は突然田んぼへと走りだし、いつの間にか白いきつねの姿になっていました。
そして白いきつねが歌いだすと、逆さに植わっていた苗が全てひっくり返りました。
娘はきつねであることを成信に知られたので、山へ帰らなければならないと言いました。
成信は慌てて娘の後を追いかけましたが、娘はきつねの姿になって山奥へ消えてしまいました。
その年の秋、検見の役人がやってきましたが、成信の田んぼだけは稲が実らず、成信は年貢を納めないで良いことになりました。
役人が帰った後、稲の穂がどんどん実り、成信はいつまでも田んぼを眺めていました。