【昔話】鬼の手がた岩【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山に、鬼が住んでいました。
ある時、鬼は山で困っている村人たちを見つけました。
どうやら村人たちは隣村に行くのに使っていた池のそばの道に、大岩が落ちてきて道をふさがれて困っているようでした。
実は池のそばの道に大岩を落としてしまったのは、この鬼でした。
昨晩、お腹をすかした鬼は、池で釣りをするために大岩を投げたところ、池まで届かずに道に落としてしまっていたのでした。
鬼は、自分のせいで村人たちが困っていることを知ったので、岩をどけてやることにしました。
その晩、岩のところへ来た鬼は、村人たちの迷惑にならないようにと思い、遠くの山に向かって大岩を投げました。
すると、大岩は山に跳ね返って元の位置に戻ってしまいました。
鬼は驚きましたが、気を取り直してもう1度山に投げつけましたが、また石は戻ってきました。
同じことを繰り返しているうちに、鬼も意地になってきて、戻ってくる岩を何度も同じ山に投げつけました。
この岩を投げる音は、村中へ響き渡り、村人たちは一体何が起こっているのかと震え上がっていました。
そんなこととは知らない鬼は、どうしても戻ってくる岩に怒り、力いっぱい投げ込み、山の中腹に岩をめり込ませました。
そして、岩との戦いに勝った鬼が自分の手を見ると、手の皮が破れていました。
それをみた鬼は、ムキになった自分がバカバカしくなって帰っていきました。
翌朝、村人たちが山へ行くと、遠くの山に大岩がめりこみ、その岩には大きな手形がついていました。
その岩は「池の鬼の手形岩」と名付けられました。