【昔話】岩屋の娘【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、若者が住んでいました。
若者が、町へ行く途中にある橋の上で、おばあさんに声をかけられました。
病気の娘のために町で薬を買ってきてほしいとおばあさんが言うので、若者は言われた通りに薬を買ってきてあげました。
薬を受け取ったおばあさんが、ぜひ家に立ち寄ってくださいと言うので、若者はおばあさんの後をついていくことにしました。
すると、神社の境内にある大きな岩の中がおばあさんの家で、そこには美しい娘が布団で寝ていました。
娘は起き上がって薬のお礼を言い、若者をもてなしてくれました。
やがて若者は娘の美しさに惚れてしまい、毎晩娘のいる岩屋へ通うようになりました。
ある日、若者がいつものように岩屋へ行くと、娘は泣いていました。
おばあさんは「実はわたしたちはキツネなのです。もう2度と来ないでください」と言いました。
若者は驚き、呆然として岩屋を出ました。
しばらくぼんやりと歩いていた若者は足を止め、娘がキツネであっても離れることはできないと考え直し、岩屋へ戻りました。
しかし、あったはずの岩屋の入口が見当たらず、そこには大きな岩があるだけでした。
それっきり若者は娘と会うことはなく、神社の近くでキツネを見ることもありませんでした。