【昔話】三本枝のかみそり狐【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに「三本枝」という竹やぶがあり、そこに人を化かすキツネが住んでしました。
村人たちはキツネを恐れていましたが、彦べえという若者だけは信じておらず、日が沈んだ頃にひとりで竹やぶへ出かけていきました。
竹やぶをしばらく進んでいくと、赤ん坊を背負った娘が一人で歩いていました。
何となく怪しいと感じたので娘の後をつけていくと、娘は四方を開けっ放しにしたあばら家に入っていき中にいるおばあさんに話しかけていました。
この様子を見て、おばあさんと娘がキツネで赤ん坊が赤カブだと思った彦べえは、あばら家へ押し入りました。
そして赤ん坊をおばあさんから取り上げ、囲炉裏の火に投げ込みました。
そうすれば赤カブに姿を変えるだろうと考えたのですが、彦べえの予想に反して赤ん坊はそのまま焼け死んでしまいました。
恐ろしくなった彦べえはその場から逃げ出しました。
赤ん坊を殺されたおばあさんは、包丁を持ち出して、殺してやると言いながら彦べえを追いかけました。
彦べえは何とか山寺に逃げ込み、かくまってくれるように頼みました。
山寺のお坊さんは彦べえを本堂に隠し、追ってきたおばあさんをなだめて、何とかその場をやり過ごしてくれました。
そしてお坊さんは「人を殺してしまったんですから坊主になりなさい」と言い、彦べえの髪を剃り落としました。
その夜、彦べえは本堂に布団を敷いて眠りましたが夜中に目を覚ますとそこは竹やぶの中でした。
彦べえの髪は全てむしり取られ、頭は血だらけになっていました。
これまでのことは全て三本枝のキツネたちの仕業だったのでした。