【昔話】柿の精【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村に、柿の木をたくさん植えている家がありました。
この家の隣には、柿の木が1本もない貧乏なおばあさんが住んでいました。
おばあさんは隣家の柿があまりにもおいしそうなので、いつも柿が食べたいなぁと思っていました。
しかし、隣家のおばあさんはとてもケチだったので、柿の実を分けてくれることはありませんでした。
ある夜、貧乏なおばあさんの家に坊主がやってきました。
おばあさんがおいしい柿が食べたいなと言っていると、坊主は「そう言うならわたしが食べさせてあげます」と言い、台所へ行ってお皿を取りました。
しばらくすると、坊主はつぶれた柿のようなものを皿に盛って戻ってきました。
そして、それをおばあさんに食べるようにすすめました。
言われたとおり食べてみると、これがとてもおいしくておばあさんは驚きました。
もっと食べたいと言うおばあさんのために、坊主はまた台所へ行きました。
その時、おばあさんの家に息子が帰ってきました。
坊主を見た息子は怪しいと思い、台所をのぞいてみました。
すると坊主は皿に糞をしました。
そして、それを持って居間へ戻り、おばあさんに食べさせていたのでした。
息子はこれに激怒し、怒りのあまり、坊主をまさかりで殺してしまいました。
おばあさんは息子の行動に驚き、思わず怒鳴りつけてしまいましたが、息子が人を殺してしまったと思い、恐ろしくなりました。
おばあさんと息子は明け方までその場に立ちつくしていました。
すると坊主の遺体に変化が現れ、よく見ると男はつぶれた柿の実に変化していたのでした。
それと同時に、あれほど実っていた隣家の柿は全部地面に落ちて食べられなくなっていました。
きっと、坊主は柿の木の精霊で、おばあさんが柿を食べたがるのでおいしい柿を食べさせにやって来たのでした。