【昔話】子育て幽霊【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、飴屋がありました。
ある夏の夜、このあたりではあまり見かけない女が飴を買いにやってきました。
飴屋が入れ物に水飴を入れてやると、女はすーっと消えるように帰っていきました。
それから毎晩、夜更けになると女が飴を買いにくるようになりました。
ある雨の夜、隣村に住む別の飴屋が訪ねて来ていたときに、あの女が飴を買いに来ました。
女を見た隣村の飴屋が、驚いた声で「この女は1ヶ月前に亡くなった松吉の女房だ!!」と言いました。
そこで2人は女の後をつけてみることにしました。
すると女は、歩いて隣村の墓場まで来ると、音もなく姿を消してしまいました。
怯えた2人は、近くのお寺に駆け込み、和尚に事情を説明すると、一緒に墓場へ戻ってみました。
墓場の近くから、かすかに赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。
声のする方へ行ってみると、松吉の女房の墓の前に、赤ん坊が捨てられていました。
添えられた手紙を読んでみると、捨てられたのは数日前のようで、泣いている赤ん坊を見かねた松吉の女房が幽霊となって、赤ん坊を育てていたのです。
感心した和尚さんは、赤ん坊を引き取り大切に育てることにしました。
その後、女が飴屋に現れることはありませんでした。
